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忍者とは何か?から道具の使い方まで『江戸隠密 武蔵一族 本陣道場』で本格忍者体験!

江戸隠密 武蔵一族 本陣道場

忍者と言われると何を思い浮かべますか?忍たま乱太郎?ラストサムライ?忍者はアニメや時代劇に出てくるイメージの人も多いかと思いますが、本格的な術や武術の体験できる道場が東京・下町にあります。それが『江戸隠密 武蔵一族 本陣道場』です。

徳川に仕えた侍の忍者が柴田家?忍者とは戦いをしないためにある

道場は、かっぱ橋道具街のおしゃれなカフェの3階にあります。外国人観光客も多いなかでライトな雰囲気を味わえる観光スポットかと思い入ったら、いにしえの文化を伝える本格道場の雰囲気に圧倒されました。

甲冑や道具が並んでいて、テンションがあがるなか、道場のとある師範の先生にお話や稽古をしていただきました。

── 武蔵一族とは何ですか。

師範:柴田家という侍の家が徳川の忍者をしていました。

普通なら忍者の村があってそこに依頼する形が多いのですが、高ランクの機密を任せるには信用できないため侍にやらせていました。その侍を指揮していたのが柴田一族です。

19代目の柴田が武蔵一族の創始者となり、そこに忍術や武術を志す人たちが集い、地域に還元すべく活動しています。

忍者は役職だから現代に忍者は存在しない

── そもそも忍者とは何ですか?

師範:忍者は、そもそも新しい言葉で日本の忍のイメージは戦国の室町時代あたりのもの。甲賀や伊賀を思い浮かべる人が多いかと思いますが、大変な歴史があります。

忍者とは主君に仕えて諜報活動を行う人でした。忍者は、戦争をしないために生まれた職業。戦争になるとき、まず忍者が戦いが起きないように動きます。地域社会に溶け込み、情報収集を行いました。

いざ、戦争になってもまず忍者が動き、説得したり、相手の陣地を焼いたりと、相手を折れさせて戦争をやめさせようとします。被害を最小限にし、人が死なないようにするのが仕事です。

── 忍者は現代にもいますか?

師範:私はスパイではないため、忍者ではありません。現代に忍術を習得した人はいても、忍者はいません。同じように公家や侍もいない。仕事としては、今は諜報員がいて、似たようなことをするかもしれませんが、忍術は使いません。

── 知りませんでした!ところで、忍者は普段どうしていたのですか?

師範:半分兵士、半分農家だったり、お坊さんや芸の道にすすんでいたり何かに化けているため、本来顔を隠したりはしていません(今、師範の先生は顔を隠しています)。

普段は顔を出して、社会に溶け込み人とコミュニケーションをとり情報を得ています。

また、侍の仕事に加えて密かに隠密をする形態もあり、侍が忍を兼任する時、もし上から指名されると子どもや妻にすら言ってはいけないこともありました。

── 忍者の忍ってどういうことですか?

師範:忍はそもそも“和”が大切。“和をもって尊し”もそうですが、忍という文字自体が “心にやいば”と書きます。

忍者は、身体能力も技術もあるから、いつでも盗みを働いたり盗賊になったりと迷いやすいです。それゆえ耐え忍び、悪いことはするなという掟がありました。人との付き合い方やこういう時どうすればいいかなど、どの忍術書を見ても精神や正しい心に付いて書かれています。

── お話を伺っていると、武術などに関しては自分で習得しなさいというスタンスだったそうで、本当に精神性が大切だったことがわかります。

ドンパチと派手なアクションをするのが忍者なイメージだったことが払拭されましたが、道具が並んでいれば使ってみたいし技を見てみたい!実際に体験しました。

気分は忍者!?エンタメ要素から歴史を感じる本格的な体験ができる

道場にくる人向けの体験はほぼ流れが決まっていますが、師範毎の裁量で行われることもあるそう。

エンターテイメントで来る方が多く、体験内容は歩き方や手裏剣の投げ方、吹き矢を吹いたりと体験(稽古)は多岐に渡ります。もちろん、歴史や道具の説明もあります。

私が受けた体験の流れとしては、着替えて瞑想したあとに忍者についてお話を伺いつつ、道具の使い方を教わったり実際に使ってみたりしました(取材用にアレンジしてくださっています)。およそ90分ほどの時間で忍者の世界を垣間見ることができました。

お話をお伺いしていると、日本人より海外の方々のほうが興味を持っている人が多く、そのおかげで文化が継続しているそうです。外国人のほうが礼儀正しかったり、詳しかったりするのだとか。

今回の体験の内容をご紹介しましょう。

敵対している国に潜り込み情報を得て帰ってくるために道具は使う

道具は戦うものというより、サバイバルのためのものだったそう。例えば、苦無(くない)はシャベルとして使ったりロープを付けて登山に使ったりしたのだとか。道具は、武器というより生き残って帰ってくるためのもの。情報を持って帰るためには、生きて帰ることが大事。

忍者は和を重んじつつ、情報を持ち帰るためにまずは逃げるものと言われても、やはり斬った張ったなアクションやエンタメも求めてしまいますよね。体験では、実際に手裏剣の投げ方を教わり、投げることもできますよ。手裏剣を的に当てる競技もあるそうです。

ただ、手裏剣は使っていたという事例が歴史になく、江戸時代以降に作られたと言われています。

また、忍者と言えば刀!師範による実演含め、刀を使うときの動作やマナー、美術的な観点のお話など盛り沢山に教えていただいたのですが……、気になったのが刀言葉。

刀や刀の部位が使われている言葉で、

・元鞘に戻る

・助太刀する

・切羽詰まる

・しのぎを削る

など。沢山の刀言葉が残っています。

そうだと知らずに使っている言葉が沢山あって、刀が日本人にとって重要なものだったことがわかりました。

歴史的な深い話からエンタメ要素まで満載の道場

日本にうん十年と生きてきて、まだまだ知らない文化や歴史が沢山あることに気付かされた体験でした。かつて忍の術をもって情報活動に勤しんだ名も知らぬ人々がいたこと、昔からのものを変えずに伝えて行く人たちがいることを忘れないぞと心に刻んだ1日でした。

INFO

名:江戸隠密 武蔵一族 本陣道場

住:東京都台東区松が谷3-1-13 3階

体験コースはHPからご確認ください

ABOUT ME
乃々
ライターとイベント司会で活動中のフリーランス。歩くことが大好きで100kmウォーキングの大会に参加。歩きながら地方グルメや観光を楽しんでいます。 執筆分野:グルメ、ライフスタイル、ブックレビュー 資格:学芸員、森林活動ガイド 好き:軽登山、散歩、旅行、漫画、アート