エッセイ

「挑戦は人生を豊かにする」ゲストハウスのヘルパースタッフとして過ごした夏

「あなたは最近何か挑戦をしましたか?」

私の2023年の目標は「挑戦」。気になる、やってみたいと思ったことは、とやかく考えずに挑戦すると決めました。そんなある日、ずっと行ってみたいと思っていた北海道の弟子屈町でゲストハウスのヘルパースタッフを募集していることを知り、すかさず挑戦することに。

今回は北海道で過ごした夏の経験を中心に、「挑戦は人生を豊かにする」と思った理由などを紹介します。なかなか1歩を踏み出せないというあなたは、ぜひ読んでみてください。

なぜ2023年の目標は「挑戦」に?

フリーランスである私は、オンライン完結の仕事をしているため、毎日自宅で淡々と仕事をこなす刺激の少ない日々を送っていました。特に人との出会いが少なく、ただ過ぎていく日常に違和感を覚えていたのです。フリーランス3年目となる2023年は日々の中に変化が欲しいと考えました。

変化が欲しいなら、行動するしかありません。

そこで、「気になることには、まず挑戦してみよう!」と決意したのです。行動する前についつい考えすぎてしまい、行動しない理由を探してしまう私は、「気になる!やってみたい!」という好奇心に任せて考える前に行動することにしました。

ゲストハウスのヘルパースタッフとして北海道へ

7月の中旬から約3週間、北海道弟子屈町のゲストハウス「TESHIKAGA HOSTEL MISATO」でヘルパースタッフとして住み込みでお手伝いをしました。主な業務は客室の清掃やチェックイン業務の対応などゲストハウス運営です。

弟子屈町は、釧路から車で約1時間、東北海道エリアの人口6,658人(令和5年7月末日時点)の小さな町。町域の65%が阿寒摩周国立公園に指定され、屈斜路湖や摩周湖などの自然に囲まれています。

「TESHIKAGA HOSTEL MISATO」はただのゲストハウスではなく、地元の人々やゲストさんが交流できるコミュニティーのような場所。「人と繋がり、自然と触れ合い、ゆったりと暮らすようなひとときをお過ごしください。」という公式ホームページの言葉通り、心がほっこりする空間が広がっています。

ゲストハウスのヘルパースタッフは私にとって大きな挑戦だった

ゲストハウスのヘルパースタッフと聞くと、それほど大きな挑戦であるかのようには聞こえないかもしれません。しかし、共同生活が苦手で、1人の時間がないと疲れてしまう私にとって、ゲストハウスに住み込みで働くことは、大きな挑戦だったのです。

人と出会い、新しい世界や価値観を知ることは好きではありますが、それが続きすぎると息切れしてしまう性格。それでもヘルパースタッフをやってみようと思えたのは、今年の目標が「挑戦」だったからです。

募集を見た時に、大好きな北海道での生活を体験ができることにワクワクし、ここへ行けば何か新しい出会いや世界が広がるきっかけがあるかもしれないと直感しました。日常に何か変化をもたらしたいと考えていた私には十分すぎる理由でした。

一瞬にして不安を払拭されるほどワクワクに溢れていた日々

滞在中、ワクワクしない日は1日たりともありませんでした。ゲストハウスのお手伝いと自分のフリーランスとしての仕事をしながら、スタッフやゲスト、地域の方々と遊び・交流しました。

日中はゲストハウスのお手伝いや自分の仕事、そして夜になるとみんなでカードゲームやタコパ、BBQをするというまるで大学生のような日々。

他にも釧路川源流カヌーに行ったり、外国人のゲストと日本の歴史や文化について話をしたりと3週間とは思えないほど密度が高い時間でした。

どこにこれほどの体力があったのかと自分を疑うほど、毎日朝から晩までフル活動。目の前のことを心から楽しんでいました。

北海道の夏は人生を豊かにするきっかけをくれた

1. 自分の強みを再発見できた

滞在期間中、さまざまな方々と出会いました。酪農家や地域おこし協力隊の方、元アナウンサー、フォトグラファー、公務員、地元の高校生、海外からの旅行者など今まで接点がなかった人たちばかりです。出会った方の多くは、それぞれが自分らしい人生を楽しんでいるように感じました。

出会った方々との会話で「コミュニケーション能力が高いよね」「行動力がすごい」と度々お褒めの言葉をいただきました。褒められることで、さらなる自信につながり、自分の強みを再認識するきっかけに。

当時の私は、自信を失いつつあり、漠然と将来に不安を感じていたため、元気がない心に栄養剤を注入してもらえたような感覚がありました。そして、立ち止まって悩んでいるこの時間の必要性に気づき、すーっと心が軽くなりました。

2. 地域の在り方や地元について理解を深められた

数日間の旅行では、ある地域を訪れても、地元の方々を交流する機会は少なく、その地域の在り方や課題まで理解することはなかなか難しいです。

しかし、今回は地元の方々とも交流する機会があり、弟子屈町の歴史や地域の在り方の理解を深められました。もちろん全てを理解できたとは思いませんが、弟子屈町の地域理解を深められたことで、地元について考えるきっかけや、地域に対する客観的視点が得られました。

これをきっかけに、人口流出ばかりしていると思っていた地元が、実は宝島社の月刊誌『田舎暮らしの本』の「2023年版 第11回 住みたい田舎ベストランキング」で上位にランクインするほど移住で注目される町であることを知りました。

3. 北海道にホームができた

北海道での夏は私に「おかえり」と迎えてくれる新しいホームを誕生させてくれました。新たなホームが誕生したことで、地方移住や関東圏以外で暮らすという選択肢を考えるようになりました。

何よりも嬉しかったのは、帰る前にきちんと挨拶をしたかった私が「明日もMISATOに来ますか?」と聞いた時に「明日何時に出るの?その時間にくるよ!」と言ってもらえたことです。その瞬間「あ、このコミュニティの仲間になれたんだ!」と感じました。

最後には「またきてね!」「いつでも待ってるよ!」と言って送り出してもらい、この上ない幸せで胸がいっぱいに……。たった3週間でしたが、1年滞在した留学先から帰国する時のように込み上げてくるものがありました。

ヘルパースタッフの募集を見たあの春の日に「興味あります!」と連絡してよかったなと心の底から思うとともに、数ヶ月前の自分に感謝しました。

小さな勇気は人生を豊かにするきっかけに。

挑戦には不安や恐怖心が付き纏い、とても勇気がいるものです。しかし、挑戦してみないとわからないことがほとんど。たとえ失敗したとしても、その失敗は自分の経験や財産になります。

ついやらない理由を考え、挑戦から目を背けようとしてしまうことが多いかもしれませんが、自分の心に正直に行動してみることは大切です。小さな勇気が、その後の人生を豊かにするきっかけになることもあるのだと実感した夏でした。

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本記事は2023年8月に行われたライティングアイランド主催のライティングコンテスト応募作品のうち、一次審査を通過した作品です。