多くの夏のイベントが復活している2023年。私もこの季節を満喫するべく、パートナーの地元で盛り上がる「八王子まつり」へ行ってきました!幼少期に体験したのはこども会単位の小さなお祭りばかりだったので、華やかな山車※がメインの大規模なお祭りと聞いてワクワクしています。祭りの賑わいとどっぷり浸かって感じた想いをお届けしていきます。
※山車(だし、さんしゃ)とは… お祭りの際に大勢で引いて歩く出し物のこと。
八王子祭りとは
4年ぶりに開催された八王子まつりは、約80万人が訪れる関東屈指の山車祭りです。江戸時代にルーツがある、八王子市の歴史文化を語るうえで欠かせない一大イベントです。文化庁から日本遺産に認定されている「桑都物語(そうとものがたり)」の構成文化財の一つです。
令和5年は7月29日の花火大会に続いて、8月3日〜5日の3日間で開催されました。驚くべきはその規模。JR八王子駅付近から約1.8km間の甲州街道を舞台に行われます。端から端まで歩くだけでも30分かかります。交通規制はもちろんですが、山車の運行を妨げないように一部の信号機は可動式になっているそうです。この会場を市内の各地域を代表する19台の山車が巡行し、パフォーマンスを披露します。
祭り会場の様子
地元民であるパートナーのご家族に同行したので、まずは居住地区のテントへ。入り口にはジュースやお金などの品目と差出人の名前が書かれた紙がずらりと並びます。各地域の山車が出るだけあって、コミュニティの結びつきや住民の協力で成り立っている裏側が見えます。
甲州街道に近づくほどに、お囃子のリズムや笛の音が大きくなってきます。浴衣に身を包んだ若い女性の後ろ姿、肉を焼く煙の匂い、氷の文字が揺れる旗。初めてなのにどこか懐かしくて「あぁ、夏祭りに来たんだ」と実感が湧きました。
メイン通りに出ると、目の前には道路全体に広がる熱気と歓喜。通行止めになった車道には、行き来する山車とお客さんが集まっています。山車を追いかけている人もいれば、ウロウロと練り歩いている人もいて道は混雑しています。歩道にはズラリと屋台が並んでいて、外国人観光客も多く、まるで東南アジアの夜市のようです。
祭りの主役 豪華絢爛な山車巡行
道路に立っていると、各地域の山車がどんどん近づいてきます。一つ一つの山車は形や装飾、演者が違っていて、別の山車に出会うたびに立ち止まって見ていても全く飽きません。山車全体に細やかな彫刻が施され、灯火や提灯によって暗闇に浮かび上がります。
山車の屋根の上には人が立っています。比較的体の小さい、若そうな方々が片手に提灯を掲げて、もう片方の手で手すりや紐を掴みながら動く山車の上に立っています。地面からは数メートルの高さです。この日は風が強かったので「怖い」「揺れる」と叫んでいる姿を見て、その勇気にも心底感心しました。
山車の台車部分にいるお囃子隊は、長い時間一定のリズムを刻み、音楽を奏でます。ここにも若い方や小さなお子さんがいて、地元民による地元のためのお祭りという感じがしました。
パフォーマンスのために山車が停車すると、後ろにある小さな部屋から狐やひょっとこ、おかめなどのお面をつけた人が現れ、お囃子に合わせてコミカルに踊ります。獅子舞が登場すると、子供を抱えた親御さんが前に殺到し、山車から顔を出した獅子舞の口まで子供を持ち上げて噛ませます。大号泣していた子供たちに幸あれ。
地元のための祭りに想いを馳せる
大切な人たちの地元イベントということもあり、特別な気持ちを抱えながら過ごす時間になりました。地元の方々が汗を流しながら祭りを盛り上げる姿を目にして、いつか自分も地域に貢献していく一員になるのかもしれないと想像を巡らせました。都心の賃貸暮らしを離れて定住の地を見つけるとしたら、こんな風に祭りの盛んな地域もよいかもしれません。
一方で、日本全体で人口が減っている中で、住民の寄付や有志の運営だけに頼っていくと、いつか維持が難しくなるのではと心配な気持ちにもなりました。ここ数年は日本各地のお祭りでVIP席を設けるなどの観光化・資金集めが注目されています。私は文化を継承していくために観光化したり企業を巻き込んだりすることも必要な工夫だと思っています。地域の祭りを目の当たりにして、1人の日本人として伝統を繋ぐサステナブルな仕組みや支援を考えていきたいと感じました。
大人になったからこそどこか懐かしさを感じる夏。過ぎていく汗ばむ季節がまた巡ってきて、来年もこの日感じた和の心が私の中に灯ることを願っています。