カルチャー

1年間新品の服を買わない!?ファッションボイコットに参加してみた

屋外でベンチに座る女性

ファッションと聞くと華やかで、服は着る人を幸せにするポジティブなイメージがあるが、実は環境汚染産業第2位だと知っている方はどれくらい居るだろうか。

洋服でパンパンなクローゼットを眺めながら出かける前に「着る服がない……」と呟いていた筆者が1年間新品の服を買わないファッションボイコットに参加してみたのでレポートします。

命がけのファッション

散らばった洋服

一説では服の60%は生産後1年以内に捨てられているとも言われている。1着当たりの価格を抑え、販売機会を逃さないための大量生産。売れなかった服は所有するより捨てた方がコストが低いので廃棄される。そしてメーカーは人件費の安く済む国に工場を作る。

ラナプラザの悲劇という縫製工場でのビル倒壊事故があったのは10年程前のことだ。そのビルは違法に増築されており、事件の前日には大きな亀裂が発見された。地元警察からビルの使用中止要請と労働者から避難要望があったが、オーナーが利益を追求しそれらを跳ね除けたために結果として死者1100人以上、負傷者2500人以上の大惨事となった。

この種の工場は搾取工場と呼ばれており、セクハラ、パワハラ、衛生環境が悪いなど多くの問題がある。早朝から夜中まで働いて月収は3900円程の低賃金だった。
他にも材料の綿花を育てる過程で農薬によって気管支や皮膚の病気になる人々もいる。

これは日本に住む私達も無関係ではない。ファストファッションブランドで服を購入し、数回しか着ないまま捨ててしまっている消費者もまた生産国の劣悪な労働環境の一端を担っている。

ファッションとは命をかけないといけないようなものなのだろうか。

一年間新品の服を買わないファッションボイコット

自宅にある洋服

「#boycottfashion」キャンペーンでは、「ファッションって、本当に命をかけるほどのもの?」と疑問を投げかけたうえで、リサイクル、あるいはアップサイクルされた衣類だけを購入したり、借りたり、交換したりするよう求めている。

「わたしたちが“集団“としてすでに所有している洋服で間に合わせて、やりくりを楽しもう」と呼びかけることで、人と服の関係を変えるのが目的だ。

Laura Pitcher.“「52週間、新品の服は買わない」:地球と未来を優先する若者たちに拡がるファッションボイコット”. WIRED. 2019.09.25. https://wired.jp/2019/09/25/extinction-rebellion-collective-yearlong-boycott-buying-new-clothes/


ファッションボイコットのルールは簡単。基本は1年間服を買わない。 もし新しい服を手に入れたくなった場合は、 以下の選択肢で手に入れる。

・古着またはアップサイクルされたものや環境に配慮されたブランドの物を購入する。
・知っている人から譲ってもらう、シェアしてもらう

ファッションボイコットチャレンジ失敗

スウェット

結論から言うと筆者はルール厳守での達成ができなかった。

4月から始め、10月までは何も買わずに過ごせた。
チートと思わず聞いて欲しいのだが、実はファッションボイコットの存在を知る前の3月にTシャツ、薄手のシャツ、デニムパンツを1枚ずつ買っていた。新鮮な気持ちで着られる服が春も夏も1着はある状態だったため、特に苦痛なく過ごすことができた。

そして10月に、去年も冬服を買っていないことに気付き欲しくなった。環境に配慮されたブランドはやはり高く、近くに店がないのでネットでの購入になる。高い服を試着せず買うことも勇気がいるので、古着屋さんやリサイクルショップに行くも香りが苦手で断念。

後日祖母が旅行の記念に服を買ってくれると言うのでお言葉に甘えた……。
12月には祖母が買ってくれた服のインナーを買い、翌月には油染みができたのでクリーニングに持って行った。3月にはベトナム旅行のお土産でTシャツを1枚買った。

結果、1年間で3枚の服を購入し、当初のルール厳守で1年間過ごすことはできなかった。
しかしたくさんの発見があったので紹介する。

お金も時間も知識も増えるファッションボイコット

畳んである洋服

筆者は服を買わないことにより、買って得られる服以上の物を得ることができた。支出が減り、時間が増えることはミニマリズムにも通ずるものを感じた。以下に、ファッションボイコットのメリットをまとめます。

①支出が減る
もし値段の張る環境に配慮された服を購入した場合、大量生産品より品質が良い物が多いので長く着ることができ長期的に考えるとお得。また、服を買うために出かけた場合のついで買いも減らせる。今回の私のように新しい服はまた別の新しい服が欲しい気持ちを誘発する。

②時間が増える
服を買いに行く時間、毎日の選ぶ時間、SNSで流行のファッションを情報収集をする時間を減らせる。

②服を大切にする方法を知ることができる
ファストファッションだと汚れたら捨ててまた買っていたが、染み抜きをしたりクリーニングに持って行ったり裁縫で少し直すと服に愛着が沸いた。

デメリット:エシカルブランドは高級品で古着は人を選ぶ

以下、ファッションボイコットのデメリットを紹介するが、お金や時間に余裕があるのであればファッションボイコットはそう難しいことではないように思う。

①飽きる
私の場合は1シーズン1着、新しい服(自分にとっての新しい服なので古着でも大丈夫)があれば、飽きに苦しむことはないと分かったが、全く買えないのは辛いと思った。

② 環境に配慮された商品は高い
オーガニックコットンやフェアトレードのブランドは高い。

③古着は人を選ぶ
新品ではないので潔癖気味な方は苦手かも。お気に入りを見つけ出すのも難しい。

ファッションの最適解

屋外でベンチに座る女性

筆者は学生時代にアパレルでバイトをしており、服を大量に買っては着ていた。物欲が落ち着いた今も完全に1年間服を買わないのは難しかった。 環境に良くてお金が貯まっても、毎日憂鬱な気分で過ごすのは嫌だ。 私にとって1年で必要な新しい服の枚数は、4~6枚だと分かった。 1シーズンに1コーデ、新鮮な気持ちで着ることができるものがあれば満足。

今回はファッションボイコットを達成出来なかったが、自分に必要な新しい服の枚数を知ることができたので十分価値のある体験だった。 新しい服の手に入れ方を変えれば今後チャレンジの達成も可能だ。 もう少し稼げるようになれば環境に配慮されたブランドで購入することも難しくなくなるだろう。

世の中には魅力的な服が溢れている。 大切なのは「足るを知ること」と「持続可能であること」だ。 無理なく自分が満足できるファッションの楽しみ方を知り、 今持っている服を大切に着る。 これからの時代のファッションは、環境にも配慮してこそクールなのではないだろうか。

ABOUT ME
ウェイライ
デパ地下に週2で通うスイーツ大好き食いしん坊ライター。キーワード:中華系食品、ゆるエコ生活、デパ地下スイーツ