カルチャー

なぜソコに?アフリカ・マラウイで日本人がチョコバナナ屋を開いたワケ

アフリカと聞いて、どんな景色を思い浮かべますか?果てしなく広がるサバンナ、力強く生きる野生動物たち。あるいは、貧困や紛争、飢餓などのネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。

しかし、そういった先入観を覆してくれるのが、アフリカ南部に位置する内陸国・マラウイ。

世界最貧困国の一つでありながら「アフリカの温かい心(Warm Heart of Africa)」と称される、笑顔と優しさがあふれる国です。

そんなマラウイの地で、チョコバナナ屋を開業した日本人・Takahiroさん。

マラウイの面積は日本の約3分の1。その中でも彼が暮らすカタベイは、人口約1万5,000人の小さな町です。

Takahiroさんにとってマラウイは「平和の楽園」そのもの。争いもなく、穏やかな日々が広がる場所だと語ります。

Takahiroさんのプロフィール

1988年、静岡県生まれ。沼津西高等学校(芸術科)卒業。東京造形大学で彫刻を学び、卒業後は飲食業に従事する。趣味で短編映画やパロディ動画の制作にも携わり、クリエイティブな活動を続ける。

長期旅行の途中で訪れたマラウイに魅了され、移住を決意(2025年現在は一時帰国中)。2024年にチョコバナナ屋を開業すると同時にイメージソングを制作する。

Instagram:@takahiro_yamakawa

YouTube:@世界最高峰の暇つぶし

マラウイで見つけた理想の場所!チョコバナナ屋誕生秘話

ーー旅の途中で移住したとのこと。そもそもどういったきっかけで旅に出たのでしょう?

若い頃に何度かバックパッカーをして、もっと長いスパンで行きたいなぁと。コロナ禍もあってなかなか動けなかったんですが、35歳のときに一旦仕事を休み、逃げるように日本を飛び出しました。

最初は友人のいるドイツ。その後、体力があるうちにと、アフリカを目指しました。

エジプトからタンザニアに行ってキリマンジャロに登って……その次がマラウイ。そのまま住んでいるので、結局3ヶ国しか行ってませんが(笑)。

ーーそれほど惹かれたということですよね。どういうところが魅力でしたか。

最初はザンビアへ向かう途中で、ほんの寄り道のつもりだったんですよ。景色とか見て1週間くらい過ごそうかなと。

でも、マラウイ湖近くのカタベイという町に到着した瞬間「ここなら住める」と直感したんです。

穏やかな空気が流れて、その雰囲気が自分にピタッと馴染む感覚があって。まさか本当に住むとは思ってもいませんでしたが。

ーーそのままチョコバナナ屋を開くまでに至ったと。

場所はどこでも良かったんですが、昔からビジネスをしてみたかったんです。小さくても、自分で数字を管理してみたくて。今振り返ると、そのチャンスを無意識に探していたのかもしれません。

マラウイに来て、ここならできると感じました。カタベイで働く人の月収はおそらく2,500円〜25,000円。金銭的なリスクも少ないし、まずは趣味感覚で挑戦してみようと。

住みたい場所とやりたいことができる環境、売りたいもの。スロットの絵柄がぴたりと揃うように、すべてが噛み合った感覚がありました。

ーーどうしてチョコバナナだったのでしょうか。

マラウイでは、バナナをフライにして塩を振ったり、フライドポテトと一緒に食べたりすることが一般的。チョコレートもスーパーで売られています。

でも、日本発祥のチョコバナナはまだ誰も知らない。だからこそ、これを売ったらきっと驚いてもらえると思ったんです。

マラウイの人々と一緒に作り上げたチョコバナナ屋

ーー外国人がアフリカでお店を開くのはハードルが高いのでは?

いえ、ゆるかったです(笑)。

今のお店があるスペースを発見したとき、不思議と自分のお店が建つイメージが湧いてきたんですよね。

その足で大工さんに「ここにお店を建てたい」と相談すると、即答で「OK!」。すぐにお願いしました。

許可取りもスムーズで、準備期間は2〜3ヶ月かな。「やります!」と言えば「どうぞ!」と背中を押してくれる、ゆるくてあたたかい空気の中、たくさんの人に支えられてお店が誕生しました。

ーー現地の方の協力が得られたんですね。

カタベイは歩いて回れる小さな町で、そこに長く住んでいる人たちばかり。偶然出会った人たちが仲間になった感じです。

たまたま声をかけてくれたアーティストのお店に遊びに行ったら、彫刻をやっていて。看板を作ってもらうのにぴったりだったので、お願いしたりとか。

ーーご自身も彫刻を学んでいたとのこと。やはり自然と引き寄せられるのでしょうか。

これは大げさではなく、カタベイにはいわゆるサラリーマンよりもクリエイティブな人たちの方がゴロゴロいるんですよ。

彫刻家、音楽制作、映像クリエイターなど、本当にたくさん。その点、仕事を依頼するのには困りませんでした。

ーー仕事を頼むうえで大変だったことはありますか。

それはもう!みんなの怠け癖が大変でした(笑)。

日本人が予想する以上にのんびりしてるから、〇日までにこれを仕上げてくれってハッパをかけないと、永遠に仕上がりません。

「仕事が欲しい、お金を稼ぎたい」というガッツはあるんですけど、実際お願いしてもなかなか動かないんです。

ーー日本の感覚とは違う部分もあるんですね。開業前には、オープニングセレモニーを開催されたとか。

はい。「お店をオープンするからよろしく」「君たちの仲間に入れてね」という告知と挨拶の思いを込めて。

350〜450人ぐらいは来ると見込んで、無料配布するお酒やジュース、チョコバナナを用意しました。

ーーそんなにたくさん!?

マラウイの人が好きな音楽をかけていれば、自然に集まってくると確信していました。

実際に飲み物もチョコバナナもすぐなくなって、想像以上に規模が大きいパーティになりましたね!

念願のチョコバナナ屋オープン!子どもたちの心をつかんだ味

ーー食べたことのないチョコバナナ。開店後の反応は?

初めて見るものなので最初は「これ、大丈夫かな?」と不安げな様子でしたが、食べてみると「ああ、こういう味なのね!」と安心していましたね。

一番うれしかったのは、子どもたちの純粋でストレートな反応。最初は戸惑っていましたが、食べたら「これは美味しいぞ!」と気付いて。

なけなしのお小遣いで何度も何度も買ってくれる子どももいました。なかには親のお金をくすねてまで(笑)。

ーー親のお金を……それほど人気があったということですね!反対にうまくいかなかったことは?

簡単だと思っていたチョコバナナ作りが意外と大変ですね。日本のように道具がなく温度調節できないので、チョコがうまくかたまらなくて……。七輪の上に鍋を置いて試行錯誤しながら作っています。

歌って踊って!チョコバナナソング!

ーーなんとチョコバナナ屋のイメージソングも制作したとのこと。どういう経緯で作ったのでしょう?

文章で広告を出すより印象に残るかと。

マラウイの人はスマホにかじりつくように、動画を見てるんです。音楽とダンスが好きなので、自分たちでもよくアップしています。

同じように短い動画をアップすれば、興味を持ってもらえると思いました。

ーー作詞作曲もご自身で?

作詞は、MVにも出演しているKING JALU(キング・ジャルー)と一緒に。ちょうど楽曲を作ろうとしていたときに、彼がふらりと店に遊びに来たんです。

「バナナチョコレートよ、Bro」なんて口ずさんで(笑)。話を聞くと、彼はボブ・マーリーに憧れていてアーティストを目指しているそう。

「俺は君のことが好きだぜ。一緒に曲を作りたいんだ」と熱く語ってくれ、気が付けば制作が始まっていましたね。

日本ではなかなか考えられない展開ですよね。でも、カタベイではこういうことが日常茶飯事。思いもよらないタイミングで、面白い人たちが四方八方から集まってくるんです。

KING JALUの繋がりで、同じくカタベイで活躍するデジタルクリエイター・BLACKA265(ブラックア・トゥーシックスファイブ)とも出会い、作曲や撮影、編集をお願いしました。

彼が作ったリズムに、KING JALUと歌詞を合わせていって。漫才のネタ合わせのように探りながら、ようやく完成しました。

僕自身も歌って踊って、やることがいっぱいでパンクしそうでしたが、キャッチーな楽曲に仕上がったので、僕のソロパートにも注目して聴いてください!

ーーMVに出演していた女性たちの笑顔もステキでした。彼女たちもお店に遊びに来たお客さんですか。

いえ。たまたま近くにいたお姉さんに、声をかけたんです。「ちょっと動画に出てくれない?」って聞いたら「いいわよ」って即OK(笑)。

ーーえっ!

マラウイでは、こういうラフなコミュニケーションが当たり前。みんなノリがよくて、いつも明るいんです。

音楽がすぐそばにあって、ダンスをする文化が根付いているからかもしれません。まさにアフリカですよね。

撮影では練習なしで、思いのまま自由に踊ってもらいました。

マラウイにはずっと住む予定

ーー最後に今後の目標を教えてください。

僕がいなくてもチョコバナナ屋が回る仕組みを作りたいですね。日本発のチョコバナナを遠い国の人たちが販売している光景って、きっと面白いはず。

そして、支店を増やすこと。雇用を生んで、みんながハッピーになれるwin-winの関係を築きたいです。

カタベイにはずっと住む予定なので、いずれはこの地に最大級のロッジを作るつもり。仲間を招いて、マラウイ湖に沈む月を眺めながら、ワイワイ宴を開くのが僕の夢です。

ーー めちゃくちゃステキ!マラウイに戻るのはいつですか。

今は日本でやることがあって一旦帰国中ですが、2026年上旬には戻る予定です。実はチョコバナナ屋を作っている最中に、マラウイで生まれ育った今の妻と出会って、現地で結婚式も挙げました。

早く帰って一緒に暮らしたい!

配信先

Takahiroさんの楽曲「チョコバナナソング」は各サブスクリプションで配信中!

ぜひ、チェックしてみてください。

お店へのアクセス

チョコバナナ屋オープンまでの道のり

※本文中の画像はすべて本人提供

ABOUT ME
蘭ハチコ
スパイスのようなちょっぴり刺激的なモノ・コトが好きなフリーランス。世界60カ国以上を旅したバックパッカー。カレーを食べたり飲み歩いたりしています。 ◆歓迎分野:旅行/医療/グルメ/インタビュー/カルチャー全般 ◆資格:看護師免許/YMAA認証マーク資格試験合格/教員免許 ◆経歴:学習塾/営業職/看護師