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【発酵セラピストsaoriさん】に聞く腸活のメリット”あなたの知らない発酵食の世界”

発酵セラピストSaoriさん

私たちの健康と美容に欠かせないキーワードとして、最近注目を集めている言葉『腸活』。腸内環境が整うことで、体の調子が整い、美容や健康にも良い影響を与えると言われています。そして、その腸活に欠かせない食品に挙げられるのが発酵食。

今回は発酵食の魅力に迫るべく、腸内環境からマインドを整える『発酵セラピスト』のsaoriさんにお話をうかがってきました。

発酵セラピストsaoriさんプロフィール

発酵セラピストSaoriさん

元美容サロン勤務。栄養士・カウンセラーとして肌診断、食事指導の提案を行い、美容室スパの立ち上げやコースメニュー開発に携わる。イギリスにてトリートメント経験を積むと同時に、解剖学を学ぶ。

2013年には、ヨガを本格的に学ぶためにインドに渡り、自分スタイルのヨガを確立する。また女性のストレスケア解消に向けて、メンタルケアカウンセラー、最新の心理学であるNLPマスターを取得。

独立後、自らのサロンでセラピストとして活動しクライアントの子宮トラブル改善と女性ホルモンの調整に努めている。これまでに1万人以上の女性の悩みをヒアリングしてきた。

2019年から現在にかけて瞑想・発酵調味料講座やヨガレッスンを『unicosalon(ウニコサロン)』にて実施し、発酵セラピスト、発酵ライフケアアドバイザー資格取得コースを設けている。

人間関係も味噌を仕込むようにじっくりと。

発酵化粧水ワークショップの様子

発酵化粧水ワークショップの様子

ヨガインストラクター、サロン経営者、発酵ライフケアアドバイザー、プライベートでは3児の母でもあるsaoriさん。2022年には、発酵食の魅力を広げるため合同会社FERMENT U(ファーメントユー)を立ち上げたそうです。

━━ さまざまなご経歴のなかで、発酵食にたどり着いたのはなぜなのでしょうか。

saoriさん:きっかけは子どもの偏食でした。長男が野菜を全く食べられなくて……、元々麹が持つ栄養価を知っていたこともあって、効率よく栄養を摂ってもらえるように甘酒から始め、塩麹で調理した野菜を食事に取り入れることにしました。

すると子どもが興味を持って、野菜も食べられるようになったんです。それから365日発酵食中心の生活を始めてもう7年になりますね。

━━ 発酵食には具体的にどのような効果があるのでしょうか。

saoriさん:善玉菌のエサとなる酵素が多く含まれるため、腸内環境が圧倒的に良くなります。女性ホルモンのバランスを整えたり、免疫力を高め病原菌を防ぐ力を養ってくれたりも。

料理そのものが美味しくなるのもポイントですね。麹の酵素で、お肉や魚が柔らかくなり食材の旨味もアップしますよ。消化も助けてくれるから、胃腸の弱ったときにもおすすめです。

発酵化粧水のワークショップも行っているんですが、麹はシミの元となる酵素の働きを抑えるので美白効果も期待できますよ。

━━ 体の内側だけではなくて外側にもいい影響があるんですね。

saoriさん:体だけではなくて、心にも良い影響があるんです。幸せホルモンと呼ばれる『セロトニン』の約90%は腸内で作られていて、腸内環境が変わると思考も変わってくると言われています。

━━ 思考もですか。それは知りませんでした。

saoriさん:多くの人のストレスは過去に傷ついた痛みや、対人関係からきていると思います。それに体が反応して痛みが出ていることも多く、表面的なマッサージを施すだけでは根本の解決にはならないと気付き、内側からのケア、腸内環境が重要だと考えるようになりました。

負の感情は相手ではなく、自分が作り出したものなので。腸内環境とも繋がっている思考は、発酵食を続けることによって無意識のうちに変わっていきます。

私自身、発酵食に出会ってから悩みごとにポジティブに向き合えるようになりました。過去の痛みが徐々に解消して、人と違って良いと思うようになれたんです。人間関係も味噌を仕込むように、1年、2年かけて理解していけばいいんだな、と。

発酵教室に通ってくださっている生徒さんからも「オープンマインドになった」「癒される」といった言葉も頂戴しています。

世界を旅するようにレシピを楽しんでほしい

━━ Instagramを拝見するといろいろな発酵調味料を作っていらっしゃいますが、料理が苦手でも簡単に作れますか?

saoriさん:シンプルな材料で食材も簡単に手に入るし、難しそうに見えますが作り方も簡単なんですよ!発酵ケチャップや発酵マヨネーズも簡単に作れますし、作り始めると習慣になっていきます。

━━ 私も塩麹や醤油麹を作ったことはあるんですが、継続が難しくて、暮らしに負担なく取り入れるコツはあるのでしょうか。

saoriさん:発酵食や発酵調味料をいきなり全部取り入れようとするよりも、まずは好きなものを見つけることが大事かな、と思います。

いろいろな発酵食がありますが、例えば甘酒や納豆とか「これは好き」というものが必ずあるはずです。

そこから始めてみると、もっといろんなものに使ってみようとか、逆にそれに見合ったものを考えようと日常になっていく気がします。

発酵教室では中華や洋食などに発酵調味料を使ったレシピも紹介しているので、新しい発見もあるかもしれません。世界を旅するように毎日の献立も楽しんで欲しいですね。

━━ 発酵というと味噌や納豆など和食のイメージがあるので、新鮮ですね。反対に摂りすぎると良くないこともあるんですか?

saoriさん:例えば、甘酒は糖分が高いため、必要な量は決まっていて、摂りすぎると太ってしまうこともあります。塩麹も摂りすぎてしまうと、塩分が過剰になるおそれもあります。高血圧の方は特に注意しないといけませんね。

発酵教室では、必要な摂取量や料理とのバランスもお伝えしているので、学びながら正しい食べ方を知っていただけると思います。

━━ 確かに塩分や糖分は気になるところですね。

saoriさん:そうなんです。良いものだからいっぱい摂ったほうがいいわけではなくて。例えば甘酒だったら、朝の空腹の状態でおちょこ一杯飲むなど、摂りすぎなくて続けられるような習慣をまず作ってほしいです。

効率よく摂ることで、体や心の変化をより良く感じてもらえると思っています。

日本全国を探してたどり着いた関谷醸造の麹

「つきみこうじ」と「雪どけこうじ」

合同会社FERMENT U 提供

━━ 立ち上げた会社、FERMENT Uでは麹も販売されていると聞きました。

saoriさん:「つきみこうじ」と「雪どけこうじ」という名前で販売しています。「雪どけこうじ」はパウダー状で、粒子が細かく1日でも発酵するので、サプリ感覚で腸活を始められますよ。普段の生活にも取り入れていただきやすいかと。

両方とも愛知県の山奥にある、約150年前から酒造りを始められた関谷醸造さんで作られた麹なんです。

酒蔵を見学させていただいたんですが、大量生産でブレンド米を使用した麹が多いなか、お米からこだわって作ってらっしゃいました。

━━ 日本酒を作るために、お米を育てているっていうことですか?

saoriさん:そうです。日本全国の麹屋さんにお問合せしたんですが、関谷醸造さんは大きな規模の畑をお持ちで、米作りから麹にいたるまで、職人さんが手作業されていらっしゃいます。ここまでお米にこだわっている麹はなかなかないと感じました。

出来立ての米麹を丸かじりしたんですが、本当に美味しくて感動したんです!

鮮度が良くてクセがなく、生麹の旨味をしっかり味わえます。甘酒にしても素材本来の美味しさを楽しんでいただけるかと。

夫婦間の『もめごと』から会社が始まった

合同会社FERMENT U 提供

━━ 会社はご夫婦で始められたんですよね。会社を立ち上げた裏にはどんな想いがあったのでしょうか。

saoriさん:私たちには3人の子どもがいます。子育てに直面するなかで夫と議論することが多くなりました。

夫は買った食材は最後までありがたく使い切りたい、子どもの食べ残しも捨てずに次の食卓にも出して最後まで食べてほしいという、もったいない主義で。

私は健康に良い食事を家族に作りたいし、子どもには美味しいものを食べさせたいと、鮮度と美味しさにこだわっていました。

キッチンで、いつもお互いの『こうあるべき正義』を押し付けあっていました。

━━ 意見が食い違っていたんですね。

saoriさん:そうなんです。この活動が生まれたきっかけも、そうした夫婦間の『もめごと』でした。

議論のなかで一致したのは、子どもには栄養のあるものを食べてもらい、買った食材の消費期限を伸ばして最後まで大切に使い切ることだったんです。

それには、日常で取り入れている発酵食がぴったりでした。

━━ 発酵食で消費期限が伸ばせるということでしょうか。

saoriさん:例えば買って冷蔵庫に入れた大根を、いざ使おうと思ったら、しなしなで柔らかくなっていた……、なんて経験はありませんか。

そうなってしまった大根は鮮度が落ちていて、そのまま食べるとみずみずしさがなく、味も落ちてしまっています。その大根をカクテキにすることで乳酸発酵されて、美味しく生まれ変わることができます。

発酵の力で消費期限が伸びて、さらに栄養のある美味しい料理が作れることを、次第にもっと広めたいと思うようになったんです。

私たち夫婦のリアルな体験から、様々なベネフィットを生み出す発酵文化を発信していくために会社を立ち上げました。

━━ しなびた野菜を捨ててしまうのは、私も抵抗があったので、もっと発酵の世界を知りたくなりました。最後に、今後の目標をお聞かせください。

saoriさん:現在住んでいる東村山市から発酵文化を発信し続け、夫婦で次世代を担う子どもたちのために、バトンを引き継いでいくのが目標です。

ここは野菜農家さんが多い地域なんですが、同時に廃棄野菜もたくさんあって。無農薬の野菜だと約6割が廃棄されています。

地域野菜を発酵食に生まれ変わらせることで、廃棄野菜を減らし、栄養価の高い食材として、たくさんの家庭の食卓を彩りたいですね!

廃棄野菜だけではなく、家庭のフードロスやゴミも減らすSDGsに繋がる活動もしています。ゆくゆくは学校給食に発酵文化を取り入れ、食べ残しや廃棄野菜を大幅に削減できれば、学校と環境に優しい暮らしになると思います。

社名の「FERMENT」とは、英語で「発酵させる・沸き返らせる」という意味があり、「U」はあなたと一緒に、というメッセージです。『あなたと、暮らしを発酵させる』という想いを社名に込めました。

発酵を学ぶ、発酵に触れる、発酵を食す、発酵で繋がるの4つの発酵で、住みたくなる街づくりに貢献できたら嬉しいです。

発酵セラピストsaoriさんの活動は以下よりご確認ください。

ABOUT ME
蘭ハチコ
スパイスのようなちょっぴり刺激的なモノ・コトが好きなフリーランス。世界60カ国以上を旅したバックパッカー。カレーを食べたり飲み歩いたりしています。 ◆歓迎分野:旅行/医療/グルメ/インタビュー/カルチャー全般 ◆資格:看護師免許/YMAA認証マーク資格試験合格/教員免許 ◆経歴:学習塾/営業職/看護師